2014年9月15日に催された鴨川 輪廻のラグランジェ展 トークイベントに行ってきました。
時間の都合で交流会には参加せず。鴨川市郷土資料館での輪廻のラグランジェ展の千秋楽でもありました。
クローズアップ現代のアレからの鴨川の実際については把握しているつもりだったけど、制作と地元両方の現場の方々から直に話を聞けたのは良かったなと。
それ関係だけをかいつまむと
●鴨川を舞台にするという事が地元に伝わったのは作品の内容が全て決まった後
●そもそも鴨川は集客がある一流の観光地なので町おこしの必要はなかった
●観光地として、おもてなしの体制を整える話をするのは当然
●アニメ制作現場に対しては地元からの要望というものは全くなかった
●サブタイトルの鴨川推しはタイトルに何か法則を持たせたかっただけ
実際、制作サイドでは地域と連携という意識は皆無で、いろんな事をわりとその場のノリで決めていた様子だなと。地元をゴリ推すつもりで作っていたのなら、序盤が過ぎたら8話まで全く鴨川が出てこないとか、Season2になったら宇宙に舞台が移動して、ろくに鴨川が出てこないとかはなかったんじゃないかなと。
そして最初は千野Pの「鴨川壊れるから先に謝りに行こう」以上の関わりをするつもりは実際無かったんじゃないかなって思った次第。
イベントは撮影、録音可だったので、記録したものをおおまかに残しておきます。
パネラー(順不同敬称略)
・鈴木利正(監督)
・千野孝敏(XEBECアニメーションプロデューサー)
・岡野大和(輪廻のラグランジェ鴨川推進委員会委員長 天津神明宮禰宜)
・高橋誠(鴨川市郷土資料館)
・岡本健(奈良県立大学講師)
鴨川での推進委員会の活動をまとめたムービーが流れる。
が、冒頭が某クローズアップ現代の引用で場内爆笑。コアなファン的には既に過去の笑い話となっていた様子。
岡野 『こんなに大勢集まっていただきましてありがとうございます。本日が千秋楽となります。正直言って20人か30人ぐらいかなと思っていましたけれど、こんなに集まっていただいて感謝感謝であります』
※定員60名のところ、立ち見や関係者を含め約100名が会場に。
岡野 『輪廻のラグランジェのファンの皆さんがこれだけ集まるという事でまだまだいけるぞと。推進委員会としても、今回は製作委員会からも参加して頂いていますけれども皆さんになにかパワーをいただいたんじゃないかという気がします。今日、トーク&交流イベントをどういう思いで企画させていただいたのか、全てオープニングビデオに凝縮されているんですけれども、この輪廻のラグランジェを作品として純粋に愛して頂いている方、しかし作品外でかなり話題になった作品でもあります。今日はこちらに岡本先生がいらっしゃいますけれども、2年前のラグりん祭りでコーディネーターを勤めていただきましたけれども、今では地域とアニメの関わりの部分では第一人者で、2年前のご縁も有りましてかけつけてくださいました。岡本先生のご協力も得ながら今までの取り組みについて共有できれば良いのではないかなと。実際どういう経緯で鴨川が輪廻のラグランジェとコラボしてきたのか、多分みなさんは知ってる方々と思うんですけれども、まだ知らない方々もいっぱいいます。今日は新しい発見があるのではないかなと思います。そして今日は輪廻のラグランジェ監督の鈴木利正監督にも来て頂いております。制作の現場の想いですとか、皆さんから質疑応答も受け付けますのでぜひ聞いていただければと思います』
ここで立ち見している鴨川市長に話が振られる。普通に入り口脇で立ち見状態。
客としてキャラクターデザイン総作監の乘田拓茂さん、キャラクターデザイン小林千鶴さんが紹介される。
応援団扇を振り振り
岡野 『皆さんの中で、輪廻のラグランジェの作品の部分と、俗に言う聖地巡礼の部分の2つの注目点があると思いますけど、まず鴨川の作品への関わりについて話したいと思います。良く言われているのは、鴨川は製作委員会にお願いをして鴨川を舞台にしていただいた。あるいは作品にも鴨川をバンバン出してくださいよとみたいなイメージがあるんですけれども、実際にはオンエアの数年前からラグランジェのプロジェクトというのは動いていて実は我々は全然知らなかったと。2011年の6月に初めて鴨川市に製作委員会の方から話があったんですね。製作委員会としては無断で鴨川を舞台にしたものを放送するわけにはいかないので、それの挨拶とできれば一緒に盛り上げていきましょうというお話があって、地元でも盛り上げようという機運になったのですけれども、推進委員会ができたのは2011年11月9日なんです。ですから放映2ヶ月前、2ヶ月前でできる事っていうのはなかなかないですね。そういう状況だったという事を理解していただくと全然受け止め方が変わってくるんではないかなと思います。』
岡野 『まずは、鴨川がロケーションに決まった経緯をお話いただけますでしょうか』
鈴木 『日産のデザインからどんな作品ができるかというところから企画が始まっているんですね。このデザインだったら女の子だよね、元気なアニメを作りたいよね、じゃぁ名前は決まっていない段階ですけども、まどかっていう主人公が住むならどういう街なのという話が出て、”東京にはいないよね”という。地方ですよね、地方なんだけどめちゃくちゃ山の奥ではなくて首都圏には入っているんだけどぐらいの場所で、自然環境が豊かというのは映像を作りやすいんですよね。というので候補がいくつか出ていて、その中で竜雄さんが(総監督の佐藤竜雄氏)大学時代に合宿で鴨川に来て星がすごい綺麗だった。流星が綺麗だったという話が結構ポイントだったんじゃないかなと。じゃぁ鴨川いいんじゃないかなという感じで候補の一番手になって、という流れですね。』
千野 『色々候補があった中で、竜雄さんが星が綺麗だと言ったことももちろんあったんれすけれども、シリーズ構成の菅さん(菅正太郎氏)が”鴨川だったら書ける”と。”鴨川だったら書ける”(大事なことなので二度言いました)。じゃぁ書けるって言われたらそこにするしかない。書けないだろって言う訳にもいかないw』
鈴木 『そっか、菅さんの声も大きかった』
千野 『結構大きかったですね。物語を進めていく中で、女の子を乗せる以上はある種ファンタジーであるという事は、結果的に3人になるのですけれども、場所が大事で。最初は風の塔ってあるじゃないですか、海ほたるに。あそこから発進してたもんね。』
鈴木 『ありましたね、そういう』
千野 『これ!?っていうw見せられた時に、そ、そっかーっていう。そういう案もあったぐらい。横浜、湘南あちらの方はアニメになりやすいってのもあったんで、鴨川に決めたという経緯です。』
鈴木 『それで鴨女というか文理開成高等学校、そこを最初に地図上で見た時にあのロケーションは特殊ですよねと、あんな海沿いにあって、学校としても地図で見た中でもいいなと思って、実際実写のロケなんかでも使われていて、今だとGTOとかでもやってるみたいですね。だからロケーション的にはすごいいいところなので、絵を作る方としてもいいなと、これが6月に鴨川市に話が行ったということなんですけれども、千野さんそれより前なんですかねー文理開成高等学校に取材させて欲しいと言ったのは』
千野 『えーはい、わたくしメールで大変申し訳無いんですけどもと連絡をしたのですけれど舞台にした作品を作りたいのですけどもと、授業の風景を見せてくれというわけではなくて休みの日にでも見せていただけないかと。アニメを作る上では例えば屋上から見た、海側はどうなっているか、そういった所が見たいんです。できれば季節ごとにどういう陽の落ち方をするか等を色々知りたいと思って取材を申し込んだんですけれども返答がなく、当時弊社のHPに某なんとかダークネスとかそういう作品がわんさかとあったので怪しく思われたのかなぁとwどうしようとなったのは覚えておりますね。』
鈴木 『千野さんが”連絡がないんだけども、、、もうやめた方がいいんじゃないか”って、でもあのロケーションは使いたかったんで外回りとかはスタッフで取材に行ったんですよね。内装とかデザインは変わってしまっているんですけどもロケーションとしてはあそこが一番かなって。』
岡野 『そんな経緯で鴨川に決まったということは、端的に言えば監督と菅さんで決まったということになりますか』
鈴木 『鴨川へはそういうことになりますね。』
岡野 『ここまでの話は僕らは知らないことなんですよね、ここから鴨川からの話をしますと文理開成高等学校さんっていうのは昔は女子校だったんですよね。』
岡野 『誠さんは市役所の立場という事になりますけれども、当時いちファンとして輪廻のラグランジェが鴨川に来るぞということでどんな想いでしたか。』
高橋 『推進委員会に絡みだしたのは結構後半の方、当時は本当にいちファンでしたが、鴨川が舞台になるということでかなり舞い上がっていました。ジャージ部の申し込みが始まった時には市役所の立場を忘れていの一番で申し込んでいますのでwわたしも熱心なアニメファンですけども自分が住んでいる所がアニメになるというのは、まず信じられない。2つ目、アニメになるんだったら絶対に見なきゃ。3つ目、なにか手伝えることがないかな。あわよくば、、、ね?w』
岡野 『輪廻のラグランジェは11月16日に第一回の制作発表があったと思うんですけど、この日は一年に一度のお祭の日なんです。ことごとく私の大事な日に絡んでくるなとwこの日に鴨川が舞台になりますよということを申し上げたわけですね。今までの多くの作品というのは製作委員会は”かもしれません”とはっきりとは言わない。ファンの皆さんは”ここかもしれない”といって作り上げていくのがパターンだったわけですけども、今回鴨川市という事を最初から謳ったわけですね。岡本先生の方でもその辺は話題でしたか?』
岡本 『よく覚えていないんですけどもw鴨川というのはどちらが最初かは置いといて、常に鴨川という名前を使うというのはどういう事になるのだろうなと想いはありましたね。』
岡野 『実はさきほど6月にご挨拶にこられたという話をしましたけれども、私達一般市民が知ったのはだいたい9月10月ぐらいなんですね。皆さんご存知の通りお役所というのは仕事に2,3倍時間がかかるわけですよ。ですから6月の時点で市役所へは全て伝えられてたと思うんですよ。で、8月ぐらいからやっと商工会が絡み始めて徐々にこちらにも話が伝わるようになったわけです。アニメが始まればファンの方がいらっしゃるわけです。俗に言う聖地巡礼ですね。これは市役所だけじゃなくてファンの方々をもてなすということが大切ではないかという事で推進委員会が11月に立ち上がったという経緯なんですね。11月ぐらいまでは何もやってこれなかった。体制もなかった。予算もありませんでした。鴨川というのは元々が観光地なんです。房総半島で観光客多いエリア。抜群に多いエリアなんですね。元々シーワールドもあったり、昔から言えば鯛の浦とかがあってそこにお客さんが来ていたのですけども、ラグランジェでお客さんが来るとなったらきちんと出迎えるというのは観光地としては当たり前の事なんです。皆さん自分ちにお客さんが来るとなったら掃除したり、、、しないかwちょっと綺麗にするじゃないですかwそれと同じ気持なわけですよ。私達はそういう気持ちで準備をしていた。ただ、先程申し上げたようにそういう風には受け止められない部分が出てしまったという。今となってはそう振り返っています。』
岡野 『監督、放映前の経緯とかなにかありますか』
鈴木 『現場では次の年の1月から始まるという状況でバタバタしていて、鴨川市とどういう連携をとっているかという事は現場には話がおりてこないんですね。先行上映会がありますといった事しか伝わってこない。細かい経緯というかやりとりはスタッフには降りてきてないんですよ。鴨川市の方からこういう風にして欲しいとかいう事も来てない。だから意図的な聖地感というのは作り手としては全く無くてですね。例えばサブタイトルに必ず鴨川を入れるっていうのは、元々一貫した縛りを入れたほうが面白いんじゃないかというところからなんです。鴨川しばりっていうのは。なので、ことさら強くとかそういう意図ではないんです。むしろ全く無いんですよね。そこは関係ないとハッキリと言っておきます。』
千野 『補足をしておきますと、僕はアニメ委員会の方におりますのでプロデューサー達と話をした時に”鴨川壊れるから謝りに行ったほうがいいよ”と。壊しちゃうからと。聖地とかになっちゃうとねーぶっ壊れちゃうしね、謝っちゃおうぜ、先に。というのが始まりだったんです。』
岡野 『放送前に?』
千野 『そう、放送前に。話をしてみると思ったよりリアクションがあったので、なにか面白いことができるかもなぁという。そこで先行上映会をして、その時に先行会場に入ろうとしている鴨川のおじいちゃん、と、20代の子が並んでたんです。その頃ポスターに”へこむのも笑うのも三人一緒”って書いてたんです。おじいちゃんはそれを見て、へこむって何?って。全然わかんねんだよなって。しょげるとかそんな感じなんだよって説明してて、いい街だなーここ。壊しちゃいけないんじゃないかってw』
岡野 『なるほどw鴨川って房総半島、、、今日房総の人ってどれぐらいいるんです?、、、3割ぐらいいますね。房総の人間は肋が足りないって言葉がありますよね。房総っていうのはいいところなんです。今年でも災害がない。米も取れる海の幸もある山でも取れる。言ってみれば根性がない。私はよく市役所が輪廻のラグランジェに協力するということになったなと思っているんです。これは切実な話がありまして。2011年というとどういう時期だったかわかりますか?』
岡野 『3月11日に大震災がありましたよね。鴨川っていうのは地震の被害が殆ど無かった。津波も一ノ宮ぐらいまでは丘まで上がったんですけど、勝浦からこちらはちょっと湿った程度でした。人的被害も殆ど無くて、ここは元々ほとんど揺れないところなので震度も3ぐらいでした。でも、その後何に襲われたかというと産業被災なんですね。千葉県が原発の被害や津波が来るという事になってしまって今までの観光客が全く来なくなってしまった。3月からは市内なんかはお通夜状態でしたよね。ですから6月にその話が来た時に少しでも鴨川が活性化すればいいなという想いが市役所の担当の方に芽生えたんだと思う。そういった状況もあったんですね。だからこのめんどくさがりの地域でも協力ができたというタイミングでもあったのかもしれません。今、成功しているのは大洗でしょ?大洗は津波の被害ですごくやられて、あの神社とか私友達なんですけども、神社界って世界が狭いですからねw絵馬とか良いのが来ますよって。あそこなんかはホントに良かったと思いますよ。大洗ホテルなんかは1Fがわちゃめちゃになって、そんな時にアニメーションが来て、すごく盛り上がった。そんな事もあったという事を皆さん受け止めといていただけくと鴨川と輪廻のラグランジェという関わりについてもう一個皆さんの中に意味が加わるんじゃないかなと。』
岡本 『岡野さん話が上手いですねw自分はタイトルに鴨川鴨川と入っているのを見て完全に勘違いしていた組で、今すーっと入ってきた感じです。ちょっと雑談なんですけど、壊す場所ってなると大変なんですよね。ポケットモンスターっていう有名な作品がありますね。ポケモンの映画でパルテノン神殿的なな何かが壊れるんですけれども、ギリシャ政府の観光局に問い合わせた所、さすがに許可できないと。ごめんなさいって言ったんですって。それで映画ではやっぱりパルテノン神殿"的な"ものが壊れてたんですって。といったところで話をお返ししたいと思います。』
岡野 『我々が最初にしようと思ったことは、外から人を呼ぶことではなくて鴨川市民に知ってもらうことだったんです。他の事例を調べてわかったことなんですけども、一番うまく行かないのは外からせっかく来てくれた人たちに対して全くアニメに興味のない方々が奇異な目で見てしまう。いわゆるヲタクという言葉がありますけれども、なんかわけのわからない人が来ているとなってしまう。おじいちゃんおばあちゃんを含めて全市民に輪廻のラグランジェが鴨川を舞台にするということを知らしめたかったんですね。そうすればファンが来た時におじいちゃんおばあちゃんでも、輪廻のラグランジェで来てくれてるんだなと思ってもらえる。ですから先行上映会は千葉県民限定だったんですね。千葉県民以外で見たいとなったらジャージ部に入ってスタッフとして参加したという猛者もいます。わざわざ限定したというのは、まず内への広報的な意味があったんです。ファンの方々が鴨川に来た時に考えられない反応があるって言いますね。おじいちゃんからアニメで来たの?って言われてびっくりしたって。鴨川が成功したと言えるのはそこです。地元の中での認知度が非常に高い。私は神社というチャンネルを悪用しましてwうちの神社というのは地域の中核なんで研修会があるんですけど、ここら辺は信心深い地域で神社が80ぐらいあるんですよ?そこから総代さんが集まるんです。150人ぐらい来るんで、そこでお土産をかならずわたすんですけども、鴨川エナジー配っちゃったりとか、ラグりんの事が書かれているKamoZine配っちゃったりとか地元の認知度は一気に広まっていった。そういったところが鴨川が重視したところだったんです。』
岡本 『鴨川に来て驚いたんですけど、地域誌みたいなものに輪廻のラグランジェがバーンと。バーンとって言ったら怒られるなw書いてあって凄いなと思いました。何も知らない時に岡野さんという人が中心にいて神社の方だと聞いてなんなんだよここはとw』
岡野 『ありがとうございますw私、未だに疑問に思うんですけど、第一話でまどかが柏手を打つんですよ。今までのイメージだと手を合わせるだけで終わるのは柏手ってなにかあるんですか?』
鈴木 『あれは、、、なんだろうな、、、』
千野 『決めとけよw』
鈴木 『あれは海に対してお参りをするのはお母さんに対してっていうところなんですよね。毎日頑張ってくるよと登校途中の海岸でお参りする形であそこで手を合わせる流れになってんですね。柏手、、、なんか理由はあったんですよw地元の神道みたいなそういう絡みのものを見て柏手を打たせたんだと思うんですよね。すいません。』
岡野 『今日も謎が解けなかったんですけどwめずらしいですよ、アニメで柏手を打つっていうのは。それで2012年1月からSeason1、7月からSeason2という事で行われていくんですけども、私達はまず作品的な部分、地域とアニメとの関わりの部分では大変な思いをしてきたわけじゃないですか。岡本先生は外から見た感じどう思いましたか』
岡本 『そうですね、ここで言う事を間違えるとボコボコにされそうなんですけどもw先程も笑いが起こりましたクローズアップなんとかになってくるのかなと思うんですけども、自分はネットで話題になってから知ったんですよね、博士論文を書いている最中だったので。ネットで話題になっていて、片方が悪い事例みたいになっていると。それで機会を得て見てみたんですね。第一印象としてはそういうほどの失敗なのと?まずは行ってみたいなと思いました。あの頃は聖地巡礼がちょっと注目されてきたかなって頃でよく新聞社とかから取材が来るんですね。それで答えたら、俺そんな事言ったかな?っていう記事が載ってたりする。それでちょっと注意して対応するようにしたんですけども、どうしても記者がこういう風に書きたいという事があるらしくて、そういう事ではないと言うと”でもーちょっとは?”と誘導しようとするところがあって、あの時もそんな一面的な話じゃないでしょうと。いうのは思いました。』
岡野 『制作現場っていうのはそれがわかっていたわけじゃないですか、そんな状況になってどういう想いだったのかなと』
千野 『気にならなかったですね。それは能動的に動いた結果でたまたまでっかい局で流れてしまったという事なんですけど、そこを必死に言い訳するわけではなく、それがやりたいわけじゃないので、アニメってオンエアされると良い悪いって瞬間に判断される事は多々あることなので、そう捉える方が面白いっていう残念な意味では扱われたんですけど、それをクヨクヨしている意味は無いですし元々震災の時期にアニメーションのまどか達を構成するにあたって、負けたくないなと。何かできないかなと何にも負けない女の子を作ってみたいなっていうところからだったので、僕らが何か言っても仕方ないねという雰囲気はスタッフにありましたね。むしろ、しっかりまどか達を描きたかった。』
岡野 『あれっていつぐらい?3月7日だったっけ』
鈴木 『というとSeason1の最終話を一生懸命やってて、間を開けてSeason2をやるんですけど、その間に鴨川デイズ作ったりしてたので基本的にはずっと繋がっているんでバタバタしていた時期ではあるんですよね、そういう話を聞きましたけど、現場としては良い物を作らなきゃっていうそれだけなんです。今回トークイベントがあるので、実はNHKのあれ見た事がなくて見てみようと思ったんですけど、機会がなくて、結局バーンしかわかんねえなっていうところではあるんです。NHKの番組によって内容が変わったとかは申し訳ないんですけど一切ないんです。』
千野 『12年の3月。僕のメモによりますと”23話コクピット内で弁当が落ちてくると書いています”』
場内爆笑
鈴木 『弁当落としたってことは最後まで詰めてるよねw』
千野 『そんな感じでしたねw』
岡野 『ありがとうございますw誠さんはどうでしたか。まだ推進委員会ではないですよね。』
高橋 『正直な所、クローズアップ現代を見てテレビに向かってリモコンを投げましたw推進委員会に市役所という立場上表立っていけないということがあったんですが、放送が終わった後に”これじゃいけないと”少しずつ推進委員会に寄っていったと。鴨川なめんなよという精神で関わっていったという事になります』
岡野 『私はネットで言われているほどの強烈なインパクトは受けなかったんですよ。正直な所こんなもんかって思ってたらタイムラインとかはそれ一色になっちゃって』
鈴木 『鴨川の方で変化はあったんでしょうか。ファンの方が全く来なくなったとか。』
岡野 『逆にそれはなかったと思いますね』
岡本 『自分が調査に来た時も普通にファンの方が喜んで来られて。ネットの喧騒とは差があるなと思いましたし。面白いのがバーンとか言っちゃった人が”アレに出たから俺と写真を撮ってくれって言われる”ってそれが面白かったなってw』
鈴木 『鴨川で変化があったとは思わなかった』
岡野 『実害は無かったですね。ネットだけの話で。』
鈴木 『あれはなんですか、作為的なところが嫌だというところですか?』
岡野 『推測ですけども、11月12月ぐらいにはくすぶり始めていて、色々な取材にも出たんですけども、当然マスメディアは面白く書くじゃないですか”鴨川が聖地化を狙う””経済効果何億円”っていう記事が出たんで一つの純粋なファンとしては俺たちを食い物にするのかよって思う。既に一人歩きを始めていたんですね。そんなのがあったんで3月の天下のNHKですから、そこで放映された時に”やっぱりそうじゃないか”となったのかなと。実際に鴨川に来られた方は全く真逆の反応をされて帰られます』
鈴木 『聖地化を狙うっていうのは現場的にもそういう意志はなかったですよね。実際に場所を使ってるから名前は出ちゃうんですけど、必要だから出ちゃうってだけなので、聖地化っていうのは違和感はありましたね。作品を見て面白そうだなって思ってもらえればというのはありましたけれども誘導するつもりはなかったんですね。皆無ですね作る上では』
岡野 『聖地っていうのはきっかけはなんでもいいと思うんです。今回みたいに最初から製作委員会がここが舞台ですよって。本当に聖地になるのは来てからなんですよ。来てみてここいいじゃんまた来ようってなれば。ここ大したこと無いじゃんってなればどんなきっかけであれ聖地にはなっていない。最終的には思うんですけど聖地を作るというのはファンなんですよ。わたくし神社ですからそもそも聖地。だから聖地って言葉を軽々しく使ってほしくないんですよねw聖地っていうのは本来重い言葉ですから。言ってみれば信者が作るんです。神様が作るから聖地じゃないんです。神を慕う信者が作るから聖地になるんです。どうですかね先生』
岡本 『すいません、聖地巡礼って言葉を使ってしまって、、、申し訳なかったです、、、』
場内爆笑
岡本 『一番最初に舞台を発見される方は自分たちが聖地巡礼者じゃなくて舞台探訪者なんだと、まだその段階では聖地ではないんですよね。聖地というのはそこが大事かどうか思われるかが大事だと思うんですよね。ここにはおられない方々の話で恐縮なんですけれどもP.A.WORKSという会社がありますよね。あそこなんかは地域密着で作られていて、必ずおっしゃいますね”聖地は自分らが作るものではないです”ってP.A.WORKSは言わない。ファンの方々に聖地にしてもらうんだったら嬉しい事だねと言ってましたので岡野さんのおっしゃるとおりだと思います』
岡野 『このままだとこれだけで話が終わってしまうのでw放映が終わった後の10月の13と14にラグりん祭りっていうのをやったんですよ、これが面白い経緯がありまして、6月3日に品川で鴨女文化祭ってやったじゃないですか、あそこで製作委員会の方と話している時に次は鴨川でやろうねって9月の放映が終わった後にやろうねって話があったんです。ただ推進委員会は10人いるかどうかの人数でやってるんで予算も全然もってない。正直アニメのイベントってやったことがないですし、最初に製作委員会にお願いしたんです。6月ぐらいでしたか、持ち込みイベントやってくださいと。例えば声優さんのトークイベントですとか、中島愛さんにコンサートをやっていただくとか。そこで良い事を言われたんです。東京でやれる事をやっても面白く無いじゃないですか。鴨川ならではの事をやった方が面白いですよと。それで一例として出てきたのは徳島のマチ★アソビ。こういうのも有りますよという話で、ここれ我々に火が点くわけですよ。よーし鴨川で考えてみようと。で次に行った時に企画書を持って行った時にダメ出しを食らうんだろうなと思ったら、いいねという事になって、自分たちで準備をすることになりました。』
千野 『地元の方々がやる事が意味があったんじゃないかなと思うんですよね。シーワールドでもやりましたけども、その方が良かったと思いますよ、持ち込みっていうよりは。』
岡野 『ちょこちょこ鴨川には来られてるんですよね?』
千野 『そうですねこちらで見た光景を皆に伝えれないかなーって。スタッフ全員でドーンではないんですけど、パラパラっと個人個人で見に来ているんですね。結構パラパラパラっと。極端に言えば年間を通じて鴨川の空気や臭いといったものを撮影現場に持ち帰ったりとか。鈴木さんは何回ぐらい来たんだっけ』
鈴木 『家族でシーワールドに来たりとかもありましたし、鴨川の最初の資料は千野さんからもらったんですよね。千野さん個人的に鴨川に来て5000枚とかの写真をw』
岡本 『あんまりスタッフがふらふらっと来るというのは聞いた事が無いかもしれませんね』
鈴木 『なんかあるんでしょうね。鴨川の魅力的なところがね。そこが突き止められてないってことがあるんですけど、ここに来る前にも大山千枚田に行ってきまして、そこから離れたところに大山寺というのがあるんですけども心が洗われてきましたよ』
千野 『汚れてるからw』
鈴木 『すっかりね、汚れもおちましたよwそういうところが良さなんだと』
岡野 『ラグランジェは制作現場と地元とファンの皆さんの距離感が相当近いんじゃないかなと思うんですけど、そう感じます?例えば監督がファンのツイートをリツイートするとか。』
鈴木 『あんまないですよねw』
千野 『怒ってる人もたまにいるけどねwうちは怒ってないからねw』
岡本 『この距離感を見たらわかると思うんですけど、この地続き感というかね。控室にいるとどんどん制作の方が来たよって感じで来られるんですよね。それだけ制作の方が愛しておられるというのは、クローズアップ現代の話に戻ってしまうんですけど、今コンテンツが成功なのか失敗なのかというのがあるんですけど、一度立ち止まって何が成功なのかは考えないといけないですね。経済効果が10億あればいいのかっていうのがありますし。鴨川に来ると考えさせられますね。』
岡野 『そうですね、最近は鷲宮とか大洗とか色々あるじゃないですか、それそれでいいと思うんですよ。それぞれでファンが楽しんでくれればそれで万々歳だと思うし。無理に成功失敗が。わたくしITの会社を経営していた事が、、、神主何してんだって話なんですけど。成功というのは理由が無いんです。皆さん、成功本っていうのは読まない方がいい。成功というのは過去のセオリーなんです、成功というのはそれぞれにあるんです。皆で失敗だねと評価してしまったらそれは失敗になるんです。成功だねと言ったら成功だと思う。私達は鴨川が成功とも失敗とも思っていません。成功だと言っても叩かれるしねw』
場内爆笑
岡野 『でも、失敗とも言わない。なぜかってこれだけ2年も経ってこれだけ来てくれたという事はすごいことだと思うんです。』
高橋 『最初60人ぐらい席を用意していたんですけど、座るところもなくて申し訳ないなって』
千野 『見込みは30って?』
岡野 『見込み30でしたっけ』
高橋 『アットホームでいいねアハハって』
岡野 『足りなかったら外からパネル持ってきて座ってもらおうかって、それが確信したところではあるんですけど、我々地元とファンのかたの距離感が近いってところで、あとなんでこういうイベントができるかっていうと、去年特別大使委嘱式で石原夏織ちゃんがサプライズで参加した時にファンの横を通って行く時に誰もブロックなんかしない。でもファンをきちっとやってくれるっていう。なんでそれができるかっていうと、早くから鴨川が確信を持っていた部分はあって、今回鴨川の人たちが一番勉強したことは、ラグランジェのファンは紳士淑女なんです。ラグりん祭りの時に二日間大きなイベントをやって何千人動員して、鴨川にいくつも会場を作って街歩きをしたのに警察や本部にきたクレームが0だったんです。運営が完璧だったかというとそうではない。そこでクレームが0だったというのはみなさんがただの参加者というのではなく、当事者として参加してくれたのだと。タイムカプセルを埋めた一戦場公園、何百人と集まったんですけど、一戦場公園というのは源頼朝が一戦を交えたから一戦場公園なんですけど、それ以来、何百年ぶりに人が集まった。その状況の中でゴミが一つも落ちていなかったということで、鴨川の人たちは感心しているんです。アニメの人たちは本当に礼儀が正しいなと。鴨川市の人がそう思ってくれたというのは、ファンが楽しんでくれるのが一番なんだけど、鴨川市民がそういう想いをしたというのはすごいことだなと。だからこの距離感でイベントができる。すごくそれを思います。ファンの人も一緒に盛り上げてもらっているなという想いがあります。』
千野 『鴨川の人たちはよくやってくれてるなと思っていて、この間街歩き行った時に、おばちゃんが”次はここだから!ここ行きなさい!”ってw』
まだ折り返しです。作品的な話はここから先になります。
■鴨川 輪廻のラグランジェ展 トークイベント その2